Voice〜彼の声〜



「送ってくれてありがとう」


香坂が泊まっている黒崎創の家まで送る。


俺は香坂がどうして黒崎創の家にいるか聞けなかった。



「…じゃあ、学校で」


小さく微笑み、立ち去ろうとすると呼び止められる。



「あ、あのね…」


「なに?」



「……私のこと、名前で呼ばないでほしいの」


俯きながら言われる。



理由が知りたいけど、聞けない。



俺はただ「分かった」とだけ返事した。



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