Voice〜彼の声〜
香坂の後ろをそんなことを思いながら歩いてると、香坂は立ち止まった。
俺も立ち止まり、周りを見渡すと想像もしていなかった光景が目の前に映った。
「…びっくりした顔してる」
と言われ我に返る。
いや、だって、びっくりするだろ。
俺の今までの気持ちはどこに、誰にぶつけたらいいんだよ。
「創ちゃん、逢いに来たよ」
そう言ってしゃがみ込む香坂に目を向け、"創ちゃん"に視線を移す。
『黒崎家の墓』
と書かれた、黒い光沢のある墓石には「享年○年ニ月十五日 黒崎創」と記載されていた。