Voice〜彼の声〜
「…創ちゃんね、私のせいで死んだの」
お墓を見つめながら話し出す。
榊は一瞬、私の発言に驚いた表情を見せたが、静かに私の話に耳を傾けた。
「……創ちゃんがいなくなった時の話はまだ出来ないけど、聞いてくれる?」
「うん」
「創ちゃんは初めてを教えてくれた人なの…」
黙って聞いてくれる榊に言葉を続ける。
「男の子を好きになるのも、その人のことをもっと知りたい、その人ともっと一緒にいたい、もっともっとって…そんな気持ちを初めて知った」
そして気付いたら大好きだった。
「…うん」
「今でもね思い出すの…創ちゃんとの会話、創ちゃんの声、創ちゃんの笑顔、仕草…本当はまだどこかにいるんじゃないかって」
思って…。
でも創ちゃんはいなくて。
私の傍にはもういなくて。
創ちゃんの想いも、創ちゃんへの想いも、全部が嘘だったんじゃないかって…。
涙が溢れ、顔を腕の中に埋める。
そんな私を榊は優しく抱き寄せてくれた。