Voice〜彼の声〜
再出発
家に着いたのは日が完全に暮れた後。
榊は家まで送ってくれた。
「…今日はありがとう」
手を繋いだまま、優しく微笑む榊を見つめる。
「色々、話してくれて嬉しかった」
「…ううん、びっくりさせてごめんね」
俯く私の頭をポンポンと軽く触り、抱き寄せられる。
「香坂は香坂の心に素直に生きていいから…」
「……ありがと」
榊の優しさと温もりが嬉しい。
「…泣き虫だな」
小さく笑うと、涙を零す私を優しく抱きしめた。