Voice〜彼の声〜
-榊side-
「りゅ〜う」
「…気色悪い声で呼ぶな」
軽く睨まれながらも、俺は廊下を歩く隆の背中にひっつく。
「重いから」
「も〜…どうしよ、俺、重症だ」
隆の背中に抱き着いたまま呟く。
「…マジ、重いから。つーかさっさと部活行け」
面倒臭そうに俺を払いのける。
それでも俺は構わず話を続ける。
「もう、うん、とりあえずヤバイんだよ」
「何が?」
「可愛すぎだ!もう、キスしたくて仕方ない」
一人興奮する俺を冷めた目で見ると、「…あっそ」と言って俺を残し、スタスタ歩き出した。