Voice〜彼の声〜
「おい!隆、待てよ」
慌てて追い掛ける。
「惚気話ならいーって」
「お前にしか言えねぇんだもん」
「…俺のおかげだもんな」
嫌な笑みを浮かべる隆に、一瞬、言葉につまる。
「今度、奢れよ」
「了解…」
野球部の隆と別れ、俺も部活へと足を進める。
部室に向かいながらも、俺の頭は香坂でいっぱいだ。
「好き」って言われて以来、俺は積極的になりすぎている。
ちょっとは我慢だってしてるけど、可愛すぎてキスしたくなる。
でも香坂は恥ずかしがって、今日も怒られた。
何か俺って…我慢出来ない男って思われる?
「はぁ〜…、学校では我慢すんべ」
深いため息をついて部室のドアを開けた。
-榊side-