Voice〜彼の声〜
泳げない私は浮輪でずっと浮いているだけだった。
榊と山下は泳ぎの競争をしたり、楽しんでいた。
「愛美は泳がないの?」
砂浜で休んでいる愛美に声をかける。
「泳げないの」
「…………」
まさかの発言に固まってしまう。
「泳げないの〜」
可愛く言う愛美をしばらく見つめる。
「…えっ?じゃあどうして海に誘ったの?」
「いい人いるかな〜と思って」
砂を弄りながら恥ずかしそうに笑う。
「いた?」
「いや、つーか山下と榊という男子がいる時点で、男は寄ってこないね」
呆れたように笑う。
愛美、意外と抜けてるね…と言いそうになった。
「愛美、可愛い」
クスクスと笑うと愛美は顔を赤くして、同じように笑った。