Voice〜彼の声〜
「あれ?香坂?」
「えっ?ここ、私達の部屋だけど」
お互いにキョトンとする。
「ごめん、部屋、間違えたかも」
そう言って外に出たかと思うと、また戻ってきた。
「あってるんだけど…」
「うそ〜…ここ、502号室だよ」
「うん、俺の部屋の鍵も502号…室……」
話すのを止めた榊は「…やられた」とため息をついて、電話しだした。
「隆、どういうこと?……はっ?橘?……うん、いや無理だから…って、おいっ……切りやがった」
「…榊?」
一人怒る榊を疑問を浮かべて見つめる。
「…隆と橘、帰った」
「………はっ?」
状況が分からない。
さっきまで二人共いたのに。