Voice〜彼の声〜



「なんで?」


「……俺と香坂を二人っきりにするためだよ」


頭を掻きながら、少し顔を赤くする。



「どうする?帰る?俺はこの状況、ラッキーなんだけど…」



どうする…って、どうしたらいいんだろう。


ダメだ。


急なことすぎて考えられないよ。



「…無理しなくていいよ?」


優しく言われ、榊を見つめる。



「……うん」


「とりあえずシャワー浴びていい?海の塩、ちゃんと流したい」


笑って浴場へと姿を消した。



絶対、私に気を遣ってるよね…。


ふぅ〜…緊張する。



十数分後、榊はお風呂から上がってきた。


「ごめん、先入って」


濡れた髪からは雫が滴り落ちている。


前髪をかきあげる仕草に一瞬、心臓がドキッとする。


「ううん!あ、じゃあ、私も入ってくるね」


恥ずかしくて逃げるようにお風呂へと入った。



どうしよ〜…緊張するよ〜!!


泣きそうになってきた。



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