Voice〜彼の声〜
第8章
秋空と夢
季節は秋になっていた。
紅葉も見頃の時期。
私は教室の窓に付いている手すりにもたれるように、空を眺めていた。
「…また、空見てるの?」
「うん…」
私と同じように空を見上げる山下。
「もう秋だね…」
「そうだな」
榊に別れを告げた日、私は山下にちゃんと気持ちを伝えた。
山下はただ「そっか…」と言って、私の頭を優しく撫でてくれた。
私は山下と愛美の優しさまでも無下にしている。