Voice〜彼の声〜
私達は近所の公園を目指しながら歩き始めた。
外は暗く、街灯がぽつぽつ点きはじめている。
「今日はどうしたの?」
「体調が優れなくて…」
「そっか…」
そういうと愛美は空を見上げた。
「愛美…」
「ん?」
「…その…え〜っと」
「榊?」
言葉に困る私に愛美はサラっと口に出し、私は小さく頷いた。
「大丈夫だよ!美嘉が気にすることないよ」
私の背中をパンッと叩き、笑った。
あれ以来、榊とは一言も話してない。
廊下ですれ違ってもお互いに知らないふりで、目すら合わさない。
愛美と山下の関係まで気まずくなったんじゃないかと不安になる。