Voice〜彼の声〜
「お邪魔しました〜」
「また来てね」
そう言って微笑んでくれるおばちゃんを残し、創ちゃん家を後にする。
「じゃあ、私こっちだから。新学期に会おうね」
「うん、またね」
愛美と別れ山下と歩く。
空は真っ暗で街灯と家の明るさが私達、二人の影を作る。
「…創に何謝ってたの?」
マフラーで隠れていた口元を出し、白い息を吐く。
「……色々と」
ふふんって笑うと山下は私の頭に手を置いた。
「なに?」
「いや…創だったら、頭撫でてやるかな〜と思って」
ははって照れ笑いして私の頭をポンポンとした。
「…ふふっ……あり…がとっ〜…」
「泣くな〜」
俯いて泣き出す私の頭をぐしゃぐしゃとした。
ずっと山下は一番、私を見守ってくれてるんだね。