Voice〜彼の声〜
「愛美はいるの?」
「私はいないよ」
じゃあバレンタイン関係ないじゃん…。
すごい勢いで話すから、あげたい相手がいるのかと思っちゃった。
「美嘉は山下にあげなよ」
はっ…!?山下に?
「冗談だよ、口閉じなよ」
ケタケタ笑って私の開いたままの口を閉じさせた。
愛美はどこからどこまでが本気で冗談なのか分からない…。
「ってごめん…美嘉はバレンタインは黒崎くんにあげるんだよね」
悪ふざけしてごめんね…と謝ってくる愛美に私は首を横に振った。
「愛美が気にすることじゃないよ」
「うん…、今年も黒崎くん家で過ごすの?」
「…うん」
だって最後だから…。
バレンタインは悲しい記憶が強い…。