Voice〜彼の声〜
「クッキーなら大丈夫」
「そんなに甘いもの苦手?」
「…あぁ」
短い返事をし、再び漫画を読み始める。
クッキーか…。
クッキーなら何度か作ったことあるし、大丈夫かな?
トントン…とドアをノックする音がした。
「開けるわよ」
そう言ってお母さんが姿を現した。
「どうしたの?」
「創くん、今日はご飯食べて帰ってね」
ふふって笑うお母さんに創ちゃんは「ありがとうございます」って軽く頭を下げた。
創ちゃんはこうやってたまに家でご飯を食べる。
最初はお父さんに睨まれていたが、最近では仲良く会話している。
お父さんがいないからか、創ちゃんは私のお父さんを本当の父親みたいに慕っていた。
「創ちゃん、漫画面白い?」
「…まぁまぁ」