Voice〜彼の声〜
バレンタイン当日、私はクッキーを持って学校へと行った。
いつ渡そうかな…と呑気なことを考えていた。
教室では男女共に落ち着かない雰囲気が漂っている。
あげる側も貰う側も緊張するもんだ。
「山下…何してんの?」
ロッカーや机の中を覗く怪しい山下。
「チョコ探してんの」
正直に答える山下に哀れみを感じた。
「美嘉はくれないの?」
「あげないよ〜!」
「創だけ?」
「当たり前じゃん」
そう言うと「ケチ…」と肩を落とし、自分の席へと戻って行った。
何か私が悪いみたいじゃん…。