Voice〜彼の声〜

｢…どうしたの？｣


｢お前、何してんの？｣


何って？


創ちゃんの言っている意味が分からない。



｢気付けよ、鈍感｣


創ちゃんの言葉にムッとくる。


｢鈍感って何よ！｣


｢何、隆にチョコあげてんだよ｣


見てたんだ…と言葉に詰まる。



｢…あ、あれは別に意味なんてないよ｣


｢お前にはなくても、隆にはあんだよ｣


｢意味分かんない！｣


｢だからお前は鈍感だって言ってんだよ｣



｢…自分だって女の子からチョコ貰ってんじゃん｣


ふん、と顔を横に向けると、創ちゃんはいい返すのを止めて、深い溜め息を吐いた。



｢もういい…｣


そう言って歩き出した。



創ちゃんとこんなに言い合ったのは初めてだ。



私も怒りが収まらず、創ちゃんを無視して帰宅した。



クッキー、渡しそびれちゃったじゃん。