Voice〜彼の声〜
「私のこと"美嘉"って呼ばないで…」
だって創ちゃんと約束したから。
ちゃんと言うって。
私は創ちゃんしか嫌だって…。
「…俺が"美嘉"って呼ばなかったら、高校行く?」
コクッと頷く。
「…分かった」
その日以来、山下は私を"香坂"と呼ぶようになった。
創ちゃん以外に名前で呼んでほしくなかった。
私は少しずつ学校に行く量を増やしていった。
どうしても泣きそうな日は屋上で思いっ切り泣いた。
創ちゃんに逢いたくなるとお墓まで会いに行った。
創ちゃんの命日が近づくと創ちゃん家で過ごすことでバランスをとっていた。
私は創ちゃんを感じることでずっと支えられてきたんだ。