Voice〜彼の声〜
「信号を渡って来る創を見つけたと思った次の瞬間、いきなり飛び出してきたバイクに跳ねられてた…」
私は思わず山下を見た。
「最初は意識あったんだ…。周りにいた人が救急車呼んでくれてさ…。俺パニクってて、気付いたらお前を呼びに行ってた…」
空から隣にいる私と視線が合う。
「ごめんな…美嘉」
泣きそうな表情をしたかと思うと優しく微笑み、私の頭を優しく撫でた。
「…山…し…た?」
「ごめんな…っ…」
もう片方の手で顔を隠した。
必死で涙を隠す山下に私は泣きそうになるのを我慢した。
ごめんね…。
私ばっかり辛いんじゃないのにね。
山下だって辛かったのにいつも励ましてくれたね。
私は泣き続ける山下に背を向け、山下が落ち着くまでずっと傍にいた。