Voice〜彼の声〜



「…落ち着いた?」


「あぁ…ごめん」


ハンカチを濡らし、赤くなった目を冷やすようにと渡すと恥ずかしそうに笑った。



「気持ちー…」


ハンカチで目を冷やし呟く。



「ずっとさ、言わないとって思ってたんだ」


「…うん」


「今まで黙っててごめんな」


ハンカチを取り、私を見る山下に胸が苦しくなる。



「私が悪いんだよ…。だから山下が責任感じることなんてないんだよ?」


「…さんきゅ」


ふっと優しい笑みを浮かべた。



「何かを後悔しだしたら切りがないって分かってるんだけど、気付いたら自分を責めてる…」


「うん…」


私達は同じ辛さを味わってきたんだね。


それでも山下は現在を生きてる。



いっぱい山下には力をもらったよ。


だけどね、私は無理だったんだ―…



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