Voice〜彼の声〜
無力だった俺-榊side-
「隆、聞いてる?」
ボーッと何か考え事をしている様子の隆に何度も声をかけるが、返答がない。
さっきからずっとこんなんだ。
隆の家に来てしばらく経つのに、一言も発さない。
「おい!」
ティッシュを丸めて投げるとようやく意識が戻る。
「えっ?あ、なに?」
「だから、俺フラれたって言ったの」
「あぁ…そう」
おいっ!
聞く気あるのか?
「つーか聞いたから知ってる」
「…そうかよ」
慰めてはくれないんだな。
隆って意外と冷たい…。