Voice〜彼の声〜



「あぁ。これさ、中学の時に撮ったやつ」


「へぇ〜って、どうしてこんなん観てんだよ?」



「気持ちにけじめをつけるため」


そう言ってまた黙ってビデオを眺め始める。


俺も一緒になって観ていた。



『美嘉』


『ん?って、いや、何!?カメラ?』


『ははっ、慌て過ぎ』



香坂、幼い…。


中学の時、こんなんだったんだ…。



ってあれ?


「隆って香坂のこと"美嘉"って呼んでたっけ?」



「あー…昔な」


「なんで今は呼ばねぇの?」


「呼ぶなって言われたから」


テレビを観ながら答える隆を俺は見つめる。



「…俺も言われたんだけど」


< 310 / 337 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop