Voice〜彼の声〜



『榊のこと好きだったよ』


そんな言葉、嘘だ。



『"美嘉"って呼んで』


なんだよ…それ。


なんだよ!



俺が"美嘉"って呼べば、黒崎創に呼んでもらってる気がしてたのかよ…。


どんだけ俺を苦しめんだよ。



「佳祐?」


「…〜っ、俺、バカだ…」


香坂は最初から俺なんか見てなかった…。



香坂と付き合ってた時も俺の片想いだったんだ…。


結局、俺は黒崎創に何ひとつ勝てなかった。



「……〜っ……はっ〜…」


泣き出す俺を隆は黙って見ていた。



部屋には俺の堪える泣き声とビデオの声だけが響いていた。




そんな空気を破るように隆の携帯が鳴った。



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