Voice〜彼の声〜
「…香坂」
「うん?」
「あの時は悪かった…。その、無理矢理キス…なんかして」
そう言って頭をガシガシ掻きながら俯いた。
「…ううん、私の方こそごめんね」
「俺さ、ずっと考えてたんだけど、俺じゃ黒崎創の代わりに傍にいてやれない。俺はお前を笑顔にするなんて出来ない…」
「そんなことないよ!私は創ちゃんの代わりだなんて…」
私の言葉を遮るように榊は首を横に振った。
「香坂は俺を黒崎創と重ねて見てただけだよ。俺と黒崎創の声が似てた、ただそれだけだよ」
ただ、それだけ…?
「本当は気付いてんだろ?」
悲しく微笑まれ、私は一瞬視線を逸らしてしまった。