Voice〜彼の声〜
家の中に上がり、居間へと通される。
懐かしい景色と匂い。
お茶とお菓子を出され、時間がゆっくり流れるのを感じる。
「おばちゃん…ちょっと痩せました?」
「そう?創もいないから、あまり料理しなくなって…そのせいかしら」
笑うおばちゃんの笑顔は胸が痛くなる。
「…創ちゃんに会いに行きましたか?」
「えぇ…今朝。美嘉ちゃんは?」
「……私はこれから」
「ゆっくりしてきてね、創も喜ぶわ」
「…はい」
そう言って私たちは笑った。
どこかぎこちない笑顔で。