Voice〜彼の声〜
「黒崎くん」
背中を人差し指で軽くつつく。
「…何?」
眠そうな顔で振り返る。
ボサボサな頭と黒ぶちの眼鏡をかけているけど、実は綺麗な顔立ちをしていることに最近気付いた。
「…なんでもない」
「………そう」
そう言って頬杖をついて、窓の外を眺める。
「………いい天気だな」
「うん」
ボソッと呟くように話しかける声に、嬉しくて声が大きくなる。
そんな私を黒崎くんは優しく笑った。