Voice〜彼の声〜
黒崎くんのお母さんが作る手料理はどれもとても美味しくて、残すのが失礼だと思い、緊張してるのを忘れるぐらい食べ過ぎた。
「ご馳走様でした」
「お口にあったかしら?」
「はい、美味しかったです」
「…香坂は卵焼きが上手いよ」
お皿を片しながら、呟くように言い席を立つ。
「そうなの?」
「いえ、私は…いつも失敗策ばかりで。でも黒崎くんは残さず食べてくれるんです」
黒崎くんの背中を見つめる。