Voice〜彼の声〜
「"創ちゃん"って呼ばれてたの?」
「……小さい頃だけど」
家まで送ってもらう道。
外は真っ暗で街灯が点き始める。
「黒崎くん、私も"創ちゃん"って呼んでいい?」
「却下」
無表情で即答される。
「何で!?黒崎くんも"美嘉"って呼んでいいから」
「…意味分からないから」
「ケチ〜…。いいもん、勝手に"創ちゃん"って呼ぶから」
拗ねる私に黒崎くんは子供を相手にするように「……はいはい」と言った。
この日から私は黒崎くんを"創ちゃん"と呼ぶようになった。