もう一度 君に会えたら
「3限目、武とどこ行ってたのー?」


放課後、いつもの日課のように浩子が俺の席の前に座って尋ねる。


「オクジョー」


俺は机に肘を付きながら面倒くさそうに天井を指差した。


「サボりかぁー」


「んー、ちょっと大事な話あったから」


「大事な話?ふーん、たまには中身のある話するんだねぇ」


そう笑いながら「槍でも降るんじゃない?」と窓の外を見上げる。


毎回ながら俺の話は掘り下げて聞いてこない。


あえてそうしてるのか興味がないのかは分からないけど。


それって、結構面倒くさいんだよね。


女なら「どんな話?」「私にも教えて」って言ってくれた方が返し方が楽でいいんだけど。




「浩子ぉ、俺、来月から転校だから」



「え・・・?」


笑顔だった浩子の表情が一瞬で凍る。


別に言わなくてもいいんだけど。


お気楽ムードのこいつがどう出るか、それに興味が沸いていた。


「転校って・・・何で?」


何かしたの、と目が訴えてる。


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