もう一度 君に会えたら
「何だよ」


「ちょ、あれ見てみ」


タケの視線の先。

ジーさん達が座ってるソファーからだいぶん離れた位置に男の人が座っていた。

スーツのジャケットを無造作に横に置き、両手で顔を覆い隠すようにして座ってる。


「オッサンじゃん、俺は瑶を探してんのー」


目的の対象を忘れたのかと呆れるようにタケを見ると、タケは目を凝らすようにその人を見つめていた。


「ねぇ、瑶ちゃんの苗字って大久保だっけ」


「は?そうだけど」


「あれ、あそこ」


そう言うと、タケは無造作に置かれたままのジャケットを指差した。

言われるまま目を凝らすと、内側のポケットの裏の刺繍が見える。


「大・・久・・保・・」

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