もう一度 君に会えたら
大久保?
瑶の父さん?
白の刺繍糸で縫われたネームとその人を交互に見比べ、俺は一気に脈拍が上がっていく。
「よくある名前だから違うかも知れねーけど、一応聞いてみていいんじゃね?」
横でタケが静かに俺の肩を叩く。
ホント、毎回思うけど、タケは冷静に周りを見てる。
俺は目でタケに頷き、ゆっくりとその男の人の下へ歩み寄った。
「すみません・・・お聞きしてもいいですか」
さっきのタケの対応を思い出しながら、俺はゆっくり言葉を選びながら話しかける。
その人は静かに顔を上げると、俺を見て口を開いた。
「何ですか・・・」