もう一度 君に会えたら

「瑶が、運ばれたって聞いてきたんですが・・本当ですか」



聞くまでもなく、父親の表情を見てれば本当であることは間違いなさそうだった。



「ちょっとね、診察中に具合が悪くなってね」



革靴の先を見つめたまま言葉は続く。



「君がこの病棟に来たという事は、少なくとも瑶の異変に気が付いていたんだろうね」



その言葉で胸を押さえ顔をしかめる瑶の姿がフラッシュバックする。



「私も妻も気が付いてはいたんだけどね、瑶が大丈夫っていうもんだから油断してたんだよ。でも最近、痛みや動機を訴える事が増えてね。夏休み前で授業が少なくなる頃だし、一度診察を受けるように勧めたんだ。念のため妻を付き添わせて来たんだけどね、あいつもいまショックで休んでるところなんだ。恥ずかしながらね」



そう言うと、下を向いたまま力なく笑った。

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