もう一度 君に会えたら
瑶のおじさんは、最後まで静かに俺の話しに耳を傾けていた。

うん、うんと軽く頷きながら。

話しながら俺は、瑶の俺を包んでいた雰囲気は父親譲りなんじゃねーかって感じていた。


「君と君のお父さんの気持ちがずれてたんだねぇ」


俺と親父の気持ち?

アイツの気持ちって何だ?

俺を自分の敷いたレールに乗せたかっただけだろ?


「お父さんが君に勉強やスポーツを押し付けた訳じゃなかったんだよね?」


「・・・はい」


言われてみれば、アイツに命令されたわけじゃない。


「君は認めてもらいたくて勉強やスポーツを頑張った。自発的に勉強やスポーツを頑張る息子をお父さんはすごく嬉しく思っていたはずだよ。自慢だったと思う。君の頑張りは大変なものだっただろう。僕もスゴイと思うよ。君みたいな息子がいたら嬉しい。ただ・・君の目標が見返りを求めるものだったから歯車が狂ったんじゃないかな。努力に見返りを求めてはいけなかったんだ」


そう言うと、違うかな?と片方の眉を器用にあげて微笑んだ。
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