もう一度 君に会えたら
「転校して、君は得たものがあったね。良かったね」


その言葉で顔を上げると、おじさんは微笑んだまま俺にハンカチを手渡した。

その優しさがすごく胸にしみて。

すごく嬉しくて。

タケの優しさやおじさんの優しさが本当に有難かった。

「話は戻るけど、瑶は見舞いに来て欲しくなくてあの言葉を言ったんじゃないと思う。君にやりたい事があるなら、自分の見舞いのせいで我慢されるのが嫌だったんだろう。親父としてムカツクくらい君を大事に思ってるんだ、あの子は」


俺はハンカチに顔をうずめたままおじさんの言葉に耳を傾けていた。


「今を謳歌する毎日もいいけど、未来を謳歌するために今に楽しみを見出す方法を探し始める時期なんじゃないか?」


大きな手で俺の頭をポンポンと二回なでると、おじさんは立ち上がり俺の肩を力強く握った。
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