もう一度 君に会えたら
「一身上の都合ってやつだよ」


使い方が違うような気になりながら答える。

案の定、違うし、という理衣の冷たい視線を受けたんだけど。


「何系に進むか、何になりたいのかで大学に行くのか専門を選ぶのかが分かれるね」


何になりたいか。

俺は・・・

家が作りたい。


「家―っ?」

意外だったのか、理衣は驚いて麦茶を噴出しそうになった。

ゴメンゴメン、と濡れた口元をハンカチで押さえながらも目は笑っている。

「家って言ったら建築だよね。かなり難しいと思うけど…大丈夫?」

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