もう一度 君に会えたら
薄暗い部屋で、紫の煙がゆらゆらと指先から昇っていく。


浩子の不安な気持ちと充への気持ちが不協和音を奏でているかのように煙を揺らしていた。

 

以前、充に聞いたことがある。


浩子と付き合ってんのって。


でもアイツは浩子は何考えてるか分かんねーからヤダと首を横に振った。


充はオヤジのレールの上で走っていたからか、一方的な愛情を酷く嫌がっていた。


だからか相手の心情を読み取る事に必死になってしまう。


浩子はそれを知っていて自分の気持ちを抑えていた。
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