もう一度 君に会えたら
いつもみたいな疑問形の口調は見当たらなかった。

瑶が倒れてから、毎週のように届いてた贈り物がパタリとやんだ。

自分の気持ちを抑えたのか、諦めて他の男に目標を変えたかは分らない。

とりあえず、浩子にはお礼を言っておきたかったから。

携帯を閉じると同時に、トレーを片手にタケが階段を登ってくるのが見えた。

タケは俺に気付くと顔中を笑顔にして高く手を振る。

その仕草に他の客たちが一斉に俺の方を見るもんだからいい加減やめて欲しい。

沢山の人とイスの合間をぬってタケがテーブルに辿り着く。

アッチー、っと首に巻いたタオルで汗をぬぐうと一気にドリンクを飲み干した。

そして一息ついたのか「こっち戻ってきたのかよ」と嬉しそうに俺の肩を小突いた。


< 186 / 272 >

この作品をシェア

pagetop