もう一度 君に会えたら
「でも、実際見たら恐ろしくて何も言えなかったわ。マジ怖ぇよ、お前のオヤジ。オーラだけでビビッたもん」


親指と人差し指でポテトを手に取り、口にほお張る。

その指先に付いた塩を眺めながら、タケは満足そうに笑っていた。


ま、そういうことにしておいてもいいけどー。

そんな意味もこめて煙をタケの顔にフーっと吹きかける。

もークセーって、っと涙目で煙を掃うタケを見て俺も笑った。

何か、久しぶりに笑ったなー。

スゲー楽しい。



「お前さぁ、覚えてる?屋上の貯水タンクんトコで初めて会った時のこと」

おどけた表情のままタケが呟く。

指に挟んだポテトをグルグルまわしながら視線は窓の外を見たままだ。

初めて会った時のこと?

あぁ、授業フケて給水タンクとフェンスの間で寝てた時か。

あの場所は日陰だし風も通って最高に居心地が良かったっけ。



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