もう一度 君に会えたら
俺の夏休みは、瑶の見舞い以外はすべて勉強の時間に使われた。

男が大学受験に向けて勉強を始めた事は瑶は知らない。

見舞いに行った病室で他愛もない話をし、

時には隠れてキスをする。

瑶と2人の時は、依然と変わらない毎日だった。

瑶の病状も相変わらず良くも悪くも、といった感じで俺も安心していたんだ。



気が付けば高校2年も終わりの時期。


「何か、充にはヤラレタって感じだな」


終業式間近で自習時間が増えた俺たちは、教室で雑談する毎日だ。

亮は読みかけのストリート雑誌を閉じ、拗ねたような顔をして俺を見る。


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