もう一度 君に会えたら
イギリスですか?
赤を貴重とした社長室に俺の素っ頓狂な声が響く。
「新しい物より、古きを訪ねてみようかと思ってね。しばらく勉強もかねてイギリスに行く予定だから、一緒にどうかと思って」
その期間が半月なのか1年なのかは社長次第。
日本を離れるのはすごく不安だ。
だって、その間に瑶から連絡があったらどうする?
でも、イギリスにはすごく興味があった。
昔、瑶が俺の部屋に沢山持ち込んでいたガーデニングの雑誌。
手入れの行き届いた家と庭。
計算しつくされたバランスの良さが非日常的で
なぜかすごく惹かれたのを覚えている。
こんな家を…
こんな庭を…
こんな世界を二人で築けたら…
俺が目標にした…
そんな淡い夢物語…。