もう一度 君に会えたら
「結構・・・つらいな」

隣で社長は既にバテ始めている。

もう少し先に、レンガ造りの建物や休憩出来るパブがあるとガイドから説明をうけると「俺は先に行って休んでる」

と目をキラキラさせて足早に歩き出した。


十分元気じゃん…。

あの人、何しに来たんだか。

癒しの旅って、酒が飲みたいだけなんじゃねーの?

ぬかるみに足を取られながらも早いスピードで遠ざかる社長の背中を見ながら思う。


仕方ないので、俺は一人歩き始めた。

しばらく歩くと牛が放牧されてるファームを抜け、ガーデンに出た。

雑誌で見るのとは違い、植物園の中にある憩い場のような雰囲気だが、キレイなのには変わりない。



立ち止まり、しばらくその風景を眺める。


目を閉じ、深呼吸してみる。


すると、後ろからそっと優しい空気に俺は抱きしめられた。
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