もう一度 君に会えたら
「揺・・・」


回された腕を強く握り返す。


「建築家になったんだってね」


背中にしがみ付いたまま瑶が言う。


「おぉ・・・」


「よかった・・・」


「手術…成功したんだ?」


「うん…。時間はかかったけどね」


「今までどこに?」


「一度日本に帰って、すぐロンドンに」


「何で連絡しなかったんだよ」


「彼女とかいたら困るじゃん…」


「・・・あほ」


俺は目を閉じたまま言う。


目を開けたら、幻になって消えてしまうんじゃないかと思った。
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