もう一度 君に会えたら
外で食べればいいじゃん、と言いかけたがすぐに口を閉じる。
ここには気軽に行けるファミレスなんて近くにない。
あるのは寂れた定食屋が数件。
どれも若者にはほど遠い雰囲気の店ばかりだ。
「俺達も行くのー」
少し不服そうに亮と陸斗が口を揃える。
確かに。
ここまで歩くこと40分。
いくら若いといっても疲れは平等に押し寄せる。
「うーん。疲れてるよねー。あ、じゃあ・・・」
にやけた顔で理衣が俺を見る。
瞬時に嫌な予感が体中を駆け抜けた。
「仲良しのキッカケ作りとして、充と瑶の2人で行ってきてー」
予想的中。
俺は制服のポケットに手を入れて面倒くさそうに首をグルリと回しながらながら言った。
「おまえは来ないのかよ」
「えー、私は家主だしぃ。男2人を家に留守番させるわけにもいかないでしょ」
そう言うと、まるで野良犬でも追い払うかのように手で俺達を急かした。