もう一度 君に会えたら
家に帰るなり母親が俺に声をかける。
この人はオヤジと俺の板ばさみで苦労が耐えない。
弟の純太や妹の奈緒子をいかにまともに育てるか、そんなプレシャーも抱えてか少し痩せた気がする。
「何?おれぇー忙しいんだけど」
「大事な話だから」
そう言うと、リビングへと俺を促す。
「もう決まってしまった事で申し訳ないんだけど・・・」
ソファーに腰を落とした俺を確認して、口を開いた。
何、決まったこと?今の状況に耐えられなくなって離婚する事になったとか?
ま、そんなところだろ?
「来週から、お婆ちゃんの家で暮らしてもらう事になった・・の」
母親の口から出たのは意外な言葉だった。