Secret Cats


「あたし、そろそろ帰ります。今日はありがとうございました」






敬語はあまり使わないし苦手だからベタなものしか言えなかった



下手したら棒読みしていたかもしれない






「そうだよね。暗くなってきたから家族の方も心配するだろうし」






家族…






「あれ?どうしたの?急にしょんぼりした顔して」




「っあ、大丈夫…です」






とは言うものの、あたしは“家族”という言葉に弱い



小さい頃からこの言葉には敏感で、聞く度に胸がズキズキ痛む






「全然大丈夫そうには見えないんだけど?」






中城さんはわざわざあたしの顔の位置まで腰を曲げてくれた



その優しさに何故か涙が出てきた


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