Secret Cats
ドアを開ければ黒猫のあの楽しそうな騒がしい声が聞こえる
そう思ってたけど現実は全く違った
騒がしいどころか人が1人もいない
妙にシーンと静まり返ってるのが逆に気味が悪いくらいだ
トイレに行くとか言ったけど実際は行きたくねーし…
かと言ってすぐに戻るのも空気読んでないかんじで嫌だしな…
「はぁ」
「会って早々ため息かよ。辛気くせーなー」
あくび混じりのやる気のない声が聞こえてきた
それはピリピリしたこの場の雰囲気には似つかない、けど今のあたしにとっては落ち着く声だった
「ま、ため息つく理由はわかってっけど」
そう言って「ふぁ~」と情けない声で大きくあくびをするリュウ
ほんとにこいつ黒猫の上のやつなのかよ…
「それにしてもこのざまやべーよな。荒らされ放題ってかんじで。怪我人も出ちまったし…」
うん、ほんとにそう
今のたまり場はありとあらゆる物が壊されたり破れてたり、ケンカしたのだろう…床だの壁だのに血が付いている
嘘でも居心地がいいとは言えない場所になっている