・音色・オトイロ
親に大きな対抗心を持っていた訳じゃないけれど、あたしが入学したのは、家から離れた有名進学校。
高校2年生になって、
一人暮らしも板についた時期。
だから特に、隣の部屋から聞こえるピアノはあたしの空いた時間をうめるにぴったりだった。
グラスに入れた水を一口飲もうとしたとき、
―――――――ガンッ
と隣から大きな物音が聞こえた。
あたしの肩はびくりとあがって、
持っていたグラスを落とした。
幸い割れはしなかったけれど、
驚きすぎてあたしの心臓はまだはねてる。
どうしよう。
今の音ってピアノの部屋からだよね。
行った方がいいのかな。
うー・・・えっと・・・。
思考に頭を使っていたのはほんの数秒で、あたしは玄関に向かって走った。