・音色・オトイロ
一章 *クレッシェンド・桃*
「へぇ、それで?」
隣の部屋のピアニストの正体を知った翌日、
あたしは学校で正面に居座っている美少女に昨日の事を話していた。
「何、好みの男でやったー・・・とか思って終わった訳じゃないよね?」
「そ、そんな分けないけどっ・・・!」
「けど・・・??」
結局、昨日の夜は隣人の落としたであろうガラスのカケラなどを拾うことに専念して、変なことを聞ける状態じゃなかった。
変なことっていうのは、
彼の個人情報とか・・・。
確かに、
初めはめちゃくちゃ好みでびっくりして、
どうやって仲良くなろうかとか、
メアド聞こうとか考えていたのは考えていたけれど・・・。
彼は、ガラスで怪我もしていたりして、
あたしの部屋と行き来して怪我の治療とかしてそれどころじゃなかった。