・音色・オトイロ
「いつも、ピアノの音聞こえてるでしょ?
本当は早い時間から弾きたいんだけど・・・
都合上ちょっとそれは無理で・・・」
ぴ、ピアノ?
あ、そっか。
いつも夜にピアノ弾いてるから・・・。
「全然、あたしは気にしてないですっ。
なんか、むしろいつも聞いてて落ち着くっていうか・・・。
だか、らっ。全然っ、全然っ」
一生懸命まくし立ててから我に返る。
きょとんとした顔で見つめてくる浅井さんと目を合わせて、自分の口が滑った事に気づいた。
浅井さんはゆっくり口を開けて、
「お、ちつく?」
と言った。