空の大きさ

こんな時に俺は多分空気を読んで黙ってるべきなんだろうけど、こんな表情の堀内を見ると何かをしなければ、という思いしかなかった。




「...なんだ、桐島まだいたのか」




そう言って笑顔を俺に向ける矢野先輩の目は全く笑ってなかった。


初めて見るその目に若干怯えながらも、ここでひるんだら全てが壊れる気がした。



「はい、俺は堀内と帰るので、ここにいます」



真っ直ぐ、暗い光を帯びた先輩の目を見ながら言った。