空の大きさ
「嘘付け。お前が声を上げることなんかないだろ、ましてや先輩に」
いきなり核心をつかれて声が出ない。
「しかも女子のことを庇うことなんか今までしたことないだろ」
変な汗が出てきそう。
「それにあのあと矢野先輩が険しい顔して部活から帰って行ったんだよな」
そこで俺はやっと健吾の顔を見る。
「矢野先輩、俺が出て行った後にすぐに帰ったのか?」
「いや、先輩は適当にまとめてからいち早く帰って行ったけど」
じゃあ別にあれは偶然会ったわけではなさそうかも。
「なあ、本当に何があったんだよ...」
いつになく真剣な表情に深刻な声を出す健吾にびっくりして目を見開く俺。
「お前は、俺には心開いてるって思ってたんだけど、違うのか?」